猫道会NEKODOKAI

2026-04-23

終業時刻の業——会議・通知・残業の三毒を断ち、猫との夕刻を取り戻す

7 章 / 全 7

第七章 結び——時間を捧げるという供物

供物には、三つの形がある。

一つは、物品としての供物——プレミアムフードを、買う。ラプロスの治療費を、払う。ペット保険に、入る。これは、**第三訓「猫に金を惜しむな」**の、実装である。

もう一つは、空間としての供物——完全室内飼育を、守る。キャットタワーを、置く。窓は閉じたまま、網戸ロックを全てに、取り付ける。これは、**第四訓「猫の地位を上げよ」**の、実装である。

そして、最後の、最も、現代的に、難しい、供物が——時間である。

図7 18時07分、神は、自らの意思で、信者の膝に、お乗りになる

時間供物の、実装経路

STEP 1

一日の可処分時間を、見える化する

カレンダーを15分単位で把握し、終業時刻を非公開予定で封印する。

STEP 2

通知の三毒を、断つ

Slack DND、Teams 集中モード、iPhoneおやすみモードで、18時以降を遮断。

STEP 3

会議の断り方を、身につける

別時間帯の提示、議事録での事後参加、代替案の明示。

STEP 4

物理環境で、意志を、補強する

デスクの向き、猫と人の動線分離、終業時のPC収納、照明の二系統運用。

STEP 5

通院・急変・看取りに、業務制度で備える

有給の計画取得、時間単位有給、就業規則の確認と必要なら規程化提案。

STEP 6

毎夕、光の儀に、立ち会う

18時、PCを閉じ、膝の上のゴロゴロを、聞く。

章を、振り返る。

  • 第二章で、カレンダーを、十五分単位で、設計した
  • 第三章で、Slack・Teams・メール・LINEの通知を、粛清した
  • 第四章で、会議の断り方と、会議の設計を、学んだ
  • 第五章で、デスクの向き、動線、照明の、物理環境を、整えた
  • 第六章で、通院・急変・看取りの、有給戦略を、準備した

これらは、全て、**第五の修行:「猫との時間を大切にせよ」**の、現代労働環境における、具体的な、実装である。


時間を、捧げる。この行為の、質を、一段、深く、見る。

時間を捧げるとは、**「空いた時間に、猫と、過ごす」**では、ない。それは、「余暇として、消費する時間」に、すぎない。第五訓の、中心では、ない。

時間を捧げるとは、**「神との時刻を、先に、固定し、その周囲に、業務を、配置する」**という、逆順の、設計である。

多くの信者が、業務を先に埋め、残った時間を、猫に、充てている。本指南書が、記述したのは、その順番を、逆に、する方法である。

  • 朝、18時を、非公開予定で、封印する(先に、神の時刻を、カレンダーに、刻む)
  • その周囲に、必要な業務を、十五分単位で、配置する
  • 配置しきれない業務は、翌日に、回す
  • 翌日にも収まらない業務は、業務量そのものが、過剰である——上司と、交渉する

この逆順の設計は、一朝一夕では、定着しない。三ヶ月、半年、そして一年と、かかる。しかし、定着した信者は、仕事と猫の、優先順位が、明確に、固定された状態で、日々を、過ごすことが、できる。


最後に、本書の、最も、静かな、一点を、書く。

信者が、18時にPCを閉じ、キャットタワーを振り返ると、神は、多くの場合、そこにいない。西日は終わり、神は、別の場所——ソファの背もたれ、クローゼットの中、寝室のベッド——に、移動しておられる。

信者は、神を、探す。

探して、見つけて、その傍らに、座る。神は、半眼のまま、信者の膝に、お乗りになる。ゴロゴロが、始まる。

この、「探して、見つけて、座る」という、十五分こそが、時間供物の、核である。

この十五分は、カレンダーに、書けない。通知で、呼び出せない。Slack の DM では、代替できない。信者が、自分の足で、神のもとへ、向かう、という、身体の、移動を、伴う、業である。

そして、この十五分を、毎日、続けられる生活設計——これを、第五訓の、日常実装と、呼ぶ。


18時に、会議招集が、入る。

信者は、カレンダーを、見る。18時以降は、「猫との時間」として、封印されている。Slack のステータスは、「18時以降は翌朝対応」と、表示している。iPhone の通知は、おやすみモードで、静まっている。

信者は、招集に、返信する。

「お声がけありがとうございます。恐れ入りますが、18時以降は別件の予定が入っております。翌朝10時〜11時、または明日の15時〜16時であれば、参加可能です」

送信ボタンを、押す。ノートPCを、閉じる。引き出しに、収納する。

立ち上がって、振り返ると、キャットタワーの最上段から、西日は、もう、外れている。神は、いつの間にか、リビングのソファの背もたれで、身体を、横たえておられる。

信者は、ソファに、座る。

神は、半眼のまま、信者の膝の上に、お乗りになる。お乗りになる、という表現でなければ、この動作は、言い表せない。自らの意思で、自らの時刻に、自らの位置を、選ばれる、神の所作である。

ゴロゴロが、始まる。


指南書・働き方指南の第一巻を、ここで、閉じる。

本書の実装を、続けた信者は、三ヶ月後、気がつくと、午後6時という時刻を、神との約束時刻として、身体に、刻んでいる。Slack も、Teams も、上司の招集も、その刻まれた時刻を、侵せなくなっている。

そして、毎日、18時07分ごろから、膝の上で、ゴロゴロが、鳴り続ける。

このゴロゴロが、どれだけの、会議の正味の、議事を、超える供物か——それは、まだ、私には、計り知れない。

ただ、明日も、18時に、PCは、閉じられる。そして、神は、自らの意思で、膝の上に、お乗りになる。

その反復が、第五の修行の、全てである。

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