猫道会NEKODOKAI

2026-04-23

保護猫を家に迎える——第四の修行としての譲渡会・トライアル・最初の七日

2 章 / 全 8

第二章 準備期——迎える前の、一ヶ月

保護猫を迎えると決めた夜から、譲渡会の申込書を書く朝まで、おおむね一ヶ月の準備期間が、必要である。

この一ヶ月で、以下の五項目を、一つずつ、確実に、整える。

図2 迎え入れ一週間前の、必需品が揃った部屋

1. 家の環境整備

まず、住居を、猫が暮らせる空間に、改造する。

脱走対策。 玄関と全ての窓が、第一の点検対象である。玄関は二重扉の構造(ペットゲート/ベビーゲート)を設ける。窓は、網戸ストッパー(アミド君、ユタカメイク製の網戸ロック等)を全ての窓に取り付ける。さらに、網戸を猫が爪で引き裂かないよう、ペット用の強化網戸(ダイオ化成のペット用ネット等)に張り替えることを推奨する。ベランダには、脱走防止ネット(スドー製の脱走防止柵、キャットネット等)を、天井まで延ばして、張る。

室温管理。 猫の至適温度は21〜28度、湿度は50〜60%が一般的な目安である。エアコン、サーキュレーター、湿度計を、最低限、揃える。夏場の留守中の熱中症対策(エアコンは24時間つけっぱなしが基本)、冬場の低温対策(ペット用ホットカーペットを推奨)。電気代を惜しむな、というのは第三訓である。

家具と配置。 猫が落下・衝突する恐れのあるものは、床上1.5m以内から、撤去する。ガラスの花瓶、ユリ科の観葉植物(猫にとって強い毒性がある。キス、テッポウユリ、オリエンタル系は即撤去)、小さな置物、アロマディフューザー(精油の多くは猫にとって有害)。キッチンのカウンターには、滑り止めシートを敷き、ガスコンロは使用後すぐに蓋を閉める習慣に、切り替える。

2. 猫の必需品の購入

迎える一週間前までに、以下を揃える。

  • ケージ——最初の隔離用。推奨は3段タイプで高さ140cm以上(アイリスオーヤマ PEC-903 等)
  • キャリー——譲渡会からの持ち帰り用、通院用(リッチェル キャンピングキャリー等)
  • トイレ——幅広いタイプ。最初は団体から引き継いだ砂の銘柄に合わせる
  • トイレ砂——鉱物系/紙系/おから系/木系。猫によって好みが分かれる
  • フード——最初は団体から引き継いだ銘柄。総合栄養食表示があるプレミアムフード
  • 食器・水器——陶器またはステンレス(プラスチックはアゴニキビの原因になる)
  • 給水器——流水式を推奨(ピュアクリスタル、カトレア等)
  • キャットタワー——垂直空間は猫の精神衛生に必須
  • 爪とぎ——麻縄・段ボール・木製、複数箇所に設置
  • 首輪とネームタグ——脱走時の帰還率を、大きく、上げる

予算の目安は、初期費用で10万〜15万円である。

3. かかりつけ動物病院の選定

迎える前に、かかりつけ動物病院を、決めておく。

選定基準は、以下である。

  • 住居から15分以内で、到着できる
  • 猫専門、または猫に詳しい獣医師が、いる
  • 24時間夜間救急の、連携先がある
  • 料金表をホームページに出している(透明性)
  • 電話で飼育相談に応じてくれる

譲渡直後の7日以内に、一度、健康診断を受けることを、強く、推奨する。多くの譲渡団体が、譲渡前にワクチン接種・FIV/FeLV検査・去勢避妊手術・マイクロチップ装着を済ませているが、念のため、受診する。

4. 経済の見通し

一匹の猫の年間飼育費は、おおむね年間15万〜25万円である。内訳の目安:

  • フード代(プレミアム総合栄養食):年間6〜9万円
  • 猫砂・消耗品:年間2〜3万円
  • ワクチン(3種混合、年1回):約6,000円
  • 健康診断(年1回):約1〜2万円
  • 突発的な通院:年2〜5万円
  • ペット保険(アニコム損保・アイペット損保・SBIプリズム等):年間3〜5万円

そして、シニア期(10歳以降)に入ると、慢性疾患(慢性腎不全・甲状腺機能亢進症・糖尿病)の治療費で、年間30万円超が、珍しくなくなる。ラプロス(ベラプロスト・ナトリウム、慢性腎不全の進行抑制薬)は1錠あたり約300円、1日2回投与で月約18,000円。ヒルズのk/d療法食は2kg袋で約4,700円、4kg袋で約9,000円前後。ペット保険の50%プランに入っていれば、これらの医療費の半分が、戻る。

金を惜しむな。これは第三訓である。しかし、惜しまないためには、稼げる状態を、最初から、整えておく必要がある。第三訓を実装するには、家計の見通しを立てることが、最初の業である。

5. 家族全員の明確な同意

同居人がいる場合、家族全員の、明確な、同意が、譲渡の前提である。「反対している人がいないだけ」は、合意では、ない。

確認すべきは、以下である。

  • アレルギー——猫アレルギーの有無を、血液検査(IgE抗体検査)で、確定する
  • 生活時間の重なり——誰が餌を与え、誰がトイレを掃除するか
  • 留守時間の限界——終日誰もいない日が、週に何日あるか
  • 旅行時の預け先——ペットホテル、動物病院のペットホテル、信頼できる知人

子供がいる家庭では、猫の尻尾を引っぱらない、嫌がるときに抱き上げない、寝ているときに触らないという三原則を、家族全員で、事前に、共有する。


以上、五項目が整ったら、次は、経路の選択である。

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