2026-04-23
保護猫を家に迎える——第四の修行としての譲渡会・トライアル・最初の七日
第 4 章 / 全 8 章
第四章 面会当日——観察と相性の読み方
面会当日、持参するものは、第一章で書いた通り。身分証明書、住民票、家族同意書、家の間取り図、キャットケージの写真。これに加えて、筆記用具とメモ帳、そして自分の血糖値を支えるための軽食を、鞄に入れる。
会場での、振る舞い
会場に入ったら、まず受付で挨拶をし、事前に申込していた面会者であることを、伝える。スタッフが、候補の猫がいるケージまで、案内してくれる。
猫に触れる前に、必ずスタッフに確認する。「触ってもよいですか」「抱いてもよいですか」。許可が出てから、手の甲を先に、ケージ越しに、差し出す。猫が匂いを嗅ぎに来たら、ゆっくりと、耳の後ろや顎の下を、指一本で、撫でる。
急に、抱き上げない。大きな声を、出さない。正面から、じっと、目を見つめない(多くの猫は、正面凝視を威嚇と受け取る)。
身体観察のチェックポイント
初めての面会で、以下を、冷静に、観察する。
目
- 目ヤニ、涙、結膜の充血は、ないか
- 瞳孔の大きさが、左右対称か
- 瞬膜(第三眼瞼)が、出ていないか
鼻
- 鼻水、くしゃみは、ないか
- 鼻先の湿り具合(健康な猫の鼻先は、しっとりと湿っている)
耳
- 耳の中に、黒い耳垢が溜まっていないか(耳ダニ/ミミヒゼンダニの可能性)
- 耳を頻繁にかいていないか
口
- 口臭は強くないか(強い口臭は、歯周病や内臓疾患の兆候)
- 歯の欠けや、歯石
- 歯茎の色(健康はピンク色、白・真紅・黄色は異常)
被毛と皮膚
- 毛艶はあるか、フケはないか
- ノミ・ダニの跡(黒い粒状の糞)は、ないか
- 背骨や腰骨が極端に浮き出ていないか(痩せすぎ)、脇腹が異常に膨れていないか(太りすぎ、または腹水の可能性)
肉球と爪
- 肉球の色が、左右で均一か
- 爪が折れたり、割れたりしていないか
尻尾・肛門
- 肛門周りが、汚れていないか(下痢の兆候)
行動観察の、ポイント
- 最初の反応——ケージの奥に隠れる/警戒しながら観察する/興味を持って近づいてくる、のどれか
- 人慣れ度——スタッフが触れるか、初対面の人の手に反応するか
- 運動能力——歩き方に違和感はないか、後ろ足を引きずっていないか
- 鳴き声——過度に鳴き続ける/全く鳴かない、は注意
警戒して隠れる子は、人慣れに時間がかかる可能性が、高い。しかし、それは「悪い子」ではない。自分が、その時間を、投資できるか、自問する。
スタッフへの、質問リスト
以下を、必ず、聞く。
- 保護された経緯(野良/多頭飼育崩壊/飼育放棄/センター引き揚げ)
- 推定年齢(歯の状態や行動から、獣医が推定)
- ワクチン接種歴(3種混合の接種日、次回予定日)
- 去勢/避妊手術の有無と、実施日
- FIV(猫免疫不全ウイルス)・FeLV(猫白血病ウイルス)検査結果
- マイクロチップ装着の有無と、登録番号
- 既往歴・持病(上部呼吸器感染症、結膜炎、消化器疾患、皮膚病、等)
- 現在の体重
- 現在与えているフードの銘柄と、一日の量
- 普段の排泄状況(頻度・量・形状)
- 性格の傾向(活発/おとなしい/甘えたがり/警戒心強い)
- 同居していた他の猫との関係(多頭飼育可否)
- 子供・犬との相性
メモ帳に、走り書きで、全ての答えを、書き留める。後で比較検討するために、必要である。
相性の、読み方
複数の候補がいる場合、「最も可愛い子」ではなく、「自分の生活と、最も接続する子」を、選ぶ。
- 留守番時間が長い家庭 → おとなしい成猫、または多頭飼育可能な子
- 小さい子どもがいる家庭 → 社会化の進んだ若い成猫、または人慣れした子
- 既に先住猫がいる家庭 → スタッフの「他の猫との相性が良い」という評価がある子
- 完全に静かな環境 → 警戒心の強い子でも、受け入れられる
潔く、帰る勇気を持つ。その日に決めない、ということも、十分に、あり得る。ピンと来ない相性を、感情で押し切って連れ帰ると、トライアル期間で必ず綻ぶ。
面会を終えたら、スタッフに「検討して、後日ご連絡します」または「お願いしたいです、次のステップを教えてください」と、伝える。前者を選んだ場合、返答期限を、自分に、課す(推奨は3日以内)。
決めたら、トライアルの、日程調整である。