2026-04-23
保護猫を家に迎える——第四の修行としての譲渡会・トライアル・最初の七日
第 5 章 / 全 8 章
第五章 トライアル期間——二週間で見極めること
正式譲渡の前に、トライアル期間が、設けられる。期間は団体により異なるが、一般的には2週間、長くて1ヶ月である。
トライアル期間は、一方的な「お試し」では、ない。猫にとっても、新しい家が、自分の最終定住先になるかを、静かに、確認する期間である。
トライアル初日
団体からの引き渡しは、原則として、スタッフが自宅まで送り届ける形式が多い(脱走防止と、トライアル住居の最終確認を、兼ねる)。引き渡しの際、以下を確認する:
- 譲渡契約書のドラフト(正式譲渡時に、再提出)
- ワクチン証明書、検査結果の原本
- 現在使っているフードの、残量と銘柄
- 現在使っているトイレ砂の、銘柄
- マイクロチップの登録番号
- 緊急時の連絡先
猫は、スタッフと別れた瞬間から、強烈な不安に、入る。到着後の最初の行動は、ケージ(または1部屋)での、静養である。家中を、歩かせない。
トライアル中のチェックリスト(毎日記録)
以下を、毎日、紙またはスマホのメモに、書き留める。
- 食事(時刻・量・残した量)
- 水の摂取(水位の減り具合)
- 排尿(回数・色・量)
- 排便(回数・形状・色)
- 活動量(起床時刻、睡眠時間、遊んだ時間)
- 行動の特徴(隠れる時間・鳴き声・人との接触)
- 異変(嘔吐・下痢・食欲不振・発熱・くしゃみ・目の異常)
特に、排尿回数と量は、猫の健康指標の中で、最も重要である。丸一日、排尿がない場合は、尿路閉塞(特にオス)の可能性があり、即時、動物病院へ向かう。これは命に関わる。
先住猫・先住犬が、いる場合
絶対に、初日から、対面させない。最低7日間、部屋を完全に分けて、匂いだけを交換する。使ったタオルを、交換し合う。ドアの下の隙間から、お互いの存在を、感知させる。
7日経過後、ドア越しに、最初の対面。シャーシャー言うのは、正常。いきなり仲良くなることを、期待しない。段階的対面は、2〜4週間かかる。これは、急がせてはならぬ行である。
トライアル中の外出・通院
トライアル中、所有権は、団体にある。外出や通院は、必ず事前に、団体に連絡する。病院に連れて行く場合、団体指定の病院があることも、多い。
トライアル中断の、判断
相性が合わなかった場合、猫を団体に返すことは、恥ではない。
むしろ、「一緒に暮らしてみてから、やはり合わなかった」と判断して返すことは、猫と自分の両方の、長期的な幸福への、誠実な判断である。恥だと思って無理に抱え込む方が、結果として第四訓に反する。
返却理由として、よくあるもの:
- 想定していなかったアレルギー症状
- 家族の一人が、深刻な苦痛を感じている
- 先住猫との関係が、改善の見込みがない
- 猫自身が、極度のストレスで体調を崩している
返却を決めた場合、即時、団体に連絡し、最短で引き取りに来てもらう。トライアル期間の延長(もう1週間様子を見る)を提案されることも、あるが、判断が固まっているなら、延長しない。
返却後、再度、別の子を紹介してもらえる団体もある。返却は、失敗ではない。プロセスの一部である。
トライアル中の「合う」サイン
2週間のうちに、以下のサインが見えたら、正式譲渡に、進む:
- 自分から、部屋を出て、歩き始める
- おもちゃで、遊びに、反応するようになる
- 食事・排尿・排便が、安定する
- 毛づくろいの頻度が、通常に戻る
- ゴロゴロと鳴く時間が、日に1回以上、確認できる
- 夜間の、鳴き叫びが、収まる
特にゴロゴロ鳴きの頻度は、安心度の指標として、信頼できる(ただし、痛みによるゴロゴロもあるため、体調観察と組み合わせる必要はある)。ここで信者は、第五訓の「猫との時間を大切にせよ」への、入口に、立つ。トライアルの観察とは、その入口で、神の沈黙と揺らぎを、読み取る行である。
2週間のトライアルが終了したら、正式譲渡の、手続きに進む。