2026-04-23
保護猫を家に迎える——第四の修行としての譲渡会・トライアル・最初の七日
第 6 章 / 全 8 章
第六章 正式譲渡——審査と書類と譲渡費用
正式譲渡は、トライアル中の観察と、以下の審査・書類交換を経て、完了する。
審査項目
団体により詳細は異なるが、以下が共通の、審査項目である:
- 飼育環境の確認——間取り、脱走対策、日当たり、温度管理。スタッフが訪問する団体も、ある。
- 家族構成の再確認——トライアル中の、家族内での役割分担。
- 経済状況——年収の目安、ペット保険加入予定の有無。
- 同居動物との関係——先住猫・先住犬との関係が、安定しているか。
- 緊急時対応——夜間病院の連携先、留守時の対応。
- 年齢・住居形態——一人暮らしの高齢者には、後継者(万が一の際に、猫を引き取る人)の確認を、求める団体もある。
必要書類
以下を、団体に、提出する:
- 譲渡契約書(団体側が用意)に、署名・押印
- 誓約書(脱走防止、飼育継続、虐待しない等を誓う)
- 身分証明書のコピー(運転免許証、マイナンバーカード)
- 住民票(現住所の証明)
- 飼育環境写真(ケージ、窓、玄関、トイレ配置)
- ペット可物件の証明(賃貸の場合、賃貸契約書のコピーまたは大家の同意書)
- 家族同意書(同居人の署名)
- かかりつけ動物病院の情報
これらを整えるまでに、2〜5日を、要する。事前に準備を済ませておくと、トライアル終了後にすぐ、提出できる。
譲渡費用
多くの場合、譲渡時に、金銭の授受があるが、これは「販売代金」では、ない。団体が、猫の保護・医療に費やした実費の一部を、負担する形である。
相場:
- 譲渡費用——2万〜5万円(平均で3.5万円前後)
内訳の目安は、以下である:
- ワクチン接種(3種混合×2回)——約8,000円
- 去勢・避妊手術——約2万円(団体によっては、提携動物病院の割引あり)
- FIV/FeLV検査——約6,000円
- マイクロチップ装着・登録——約3,300円+300円
- ノミ・ダニ駆除薬——約3,000円
- トータルヘルスチェック——約1万円
「譲渡費用」と「寄付」は、区別する。譲渡費用は原則として実費ベースで固定、寄付は任意である。なお、いずれも個人の確定申告における医療費控除の対象には、ならない。
契約上の、重要条項
譲渡契約書に、以下の条項が含まれるのが、一般的である:
- 脱走防止の義務——窓・ベランダ・玄関の対策を、継続する
- 完全室内飼育の誓約——放し飼いは、禁止
- 健康診断の実施義務——年1回以上の定期健診
- マイクロチップ登録の継承——登録名義を、譲渡先に変更する(環境省の指定登録機関経由、手数料300円)
- 虐待・遺棄の禁止——発覚時は、引き揚げ・刑事告発の対象
- 返却条項——飼育が継続不能になった場合、団体に連絡して引き揚げを依頼する、義務
- 繁殖・譲渡の禁止——迎えた猫を第三者に譲渡しない、繁殖させない
これらは、団体によっては「飼育終了時の連絡義務」や「年1回の近況報告」まで含むことが、ある。読まずに、署名しない。これは、供物経済学の契約書である。契約を読む時間こそが、第一の供物である。
譲渡完了後
譲渡が完了した瞬間から、猫は、法的にも、あなたの家族に、なる。しかし、団体との縁は、ここで切れるわけでは、ない。多くの団体が、譲渡後1〜3ヶ月は、様子を聞く連絡をくれる。写真を送る、困り事を相談する、この関係は、長期的な猫の地位を上げる運動の、一部である。
書類が完了したら、いよいよ、最初の七日間である。