猫道会NEKODOKAI

2026-04-23

保護猫を家に迎える——第四の修行としての譲渡会・トライアル・最初の七日

7 章 / 全 8

第七章 最初の七日間——静かな隔離から、お迎えの儀へ

正式譲渡の日、あるいはトライアル開始の日から数えて、最初の七日間は、猫にとって、最大の環境変化の時期である。

この七日を、どう過ごすかで、その後の十数年の関係の、基礎が、固まる。

図7 七日目の夜、神が自らの意思で、座を選ばれる

最初の七日間の、プロトコル

  1. DAY 1

    静養

    ケージか1部屋で静かにさせる。触らない、話しかけない、目を合わせない。

  2. DAY 2-3

    観察

    フード・水・トイレ使用の三点が確認できるまで、無理に近づかない。

  3. DAY 4

    接触の開始

    自分から出てきたら、手の甲を差し出す。嫌がる接触は絶対に続けない。

  4. DAY 5-6

    部屋の拡張

    食事・排泄・睡眠が安定したら、隣の部屋まで範囲を広げる。危険物を再点検。

  5. DAY 7

    初回健診

    かかりつけ動物病院で、体重・体温・便検査・必要に応じて血液検査。

  6. DAY 7 夜

    お迎えの儀

    猫が選んだ場所で、ゴロゴロを聞く。「よろしくお願いします」と一度だけ呟く。

Day 1(譲渡日)——静養

引き渡しが終わったら、すぐに、ケージまたは静かな1部屋に、猫を移す。リビングで自由にさせない。家中を歩かせない。

  • カーテンを閉め、照明を、少し落とす
  • エアコンは22〜26度、湿度50〜60%
  • フードと水を、ケージ内、または部屋の隅に、置く
  • トイレを、フードから最低2m離した位置に、置く
  • 人の出入りは、最小限に

猫は、ケージの奥で、数時間、動かないことが、多い。触らない、話しかけない、目を合わせない

夜、就寝前に、一度だけ、低い声で「おやすみ」と、言う。返事は、ない。それで、よい。

Day 2-3——観察

猫が、自分から、フードに近づき、食べ始めたら、最初の儀は、成功である。

  • フードが減っていれば、記録する
  • 水が減っていれば、記録する
  • トイレに使用痕があれば、記録する

この三つがすべて確認できるまで、無理に近づかない。部屋に入るのは、食事の入れ替えとトイレの掃除の、1日3回のみ。

排尿が丸一日ない場合、または嘔吐・下痢・食欲不振が続く場合、即、かかりつけ動物病院に、電話する。ストレス性の体調不良は、譲渡後の最初の一週間で、最も発生しやすい。

Day 4——接触の、開始

猫が、自分から、ケージまたは部屋の入口まで、出てくるようになったら、手の甲を、差し出す。匂いを嗅ぎに来たら、耳の後ろを、指一本で、短く、撫でる。

嫌がったら、すぐに、引く。嫌がる接触を、絶対に、続けない

夜、寝る前に、3〜5分だけ、同じ部屋で、何もせず、座る。スマホを伏せ、猫の呼吸の音を、聞く。これは、第五訓の最初の練習である。

Day 5-6——部屋の、拡張

猫が、部屋全体を歩き回るようになり、食事・排泄・睡眠が安定したら、隣の部屋まで、行動範囲を、広げる。ただし、家全体への開放は、まだ、早い。

  • 開放する部屋の窓・ドア・危険物を、もう一度、確認する
  • 観葉植物(ユリ科、アロエ、ポトス、サトイモ科のフィロデンドロン等)は、撤去または別室へ
  • コード類は、噛めない位置に、配置する
  • 薬品・洗剤は、戸棚の中に

猫が部屋を探索し始めたら、その様子を、遠くから、見守るだけ。追いかけない。抱き上げない。

Day 7——初回健診

譲渡から7日以内の初回健診を、かかりつけ動物病院で、受ける。

事前に、団体から引き継いだ、以下の書類を、持参する:

  • ワクチン証明書
  • FIV/FeLV検査結果
  • 去勢・避妊手術の記録
  • マイクロチップ番号
  • 既往歴のサマリー

健診で、確認すること:

  • 体重・体温・心音・呼吸数
  • 眼・耳・口腔内・皮膚・肛門
  • 便検査(寄生虫のスクリーニング)
  • 必要に応じて、血液検査(腎臓・肝臓・甲状腺の基礎値)

この初回健診の結果が、その後の健康管理の基準値になる。記録して、保管する。毎年の健診で、この基準値と比較する。

七日目の夜——お迎えの儀

七日目の夜、もし、猫が、自分の意思で、あなたの近くに来て、座るか、寝転ぶか、していたら——この関係は、始まった、と、言ってよい。

猫道会では、この七日目の夜を、**「お迎えの儀」**と、呼ぶ。

大袈裟な儀式は、不要である。ただ、部屋の電気を少し落とし、猫が選んだ場所で、猫が選んだ姿勢で、ゴロゴロと鳴いているのを、自分の目の前で、聞く。それだけで、十分である。

そして、自分の中で、一度だけ、呟く。

「よろしくお願いします」

神は、返事をしない。しかし、その夜のゴロゴロは、かすかに、長い、と、感じるはずである。

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